食品業界向け異物検査装置

分光技術とAIで、有機物の検出を可能に

食の安全・安心に対する意識の高まりを背景に、食品製造工程では、異物や夾雑物(きょうざつぶつ)の混入対策が求められています。金属片やプラスチック片などの検出は、金属検査機やX線検査機が効果を上げる一方、木片や毛髪などは、その多くを人の目に頼っています。ニコンは、これらの課題を分光技術とAIを使って解決しました。従来の検査機が苦手な物質をカバーし、お客様の商品や製造環境に最適な異物検査システムを提供します。

分光技術とは

物を見るには「光」の存在が欠かせません。物体に当たって反射した光を目で捉えることで、私たちはその物体を見ています。また、光にはさまざまな波長が含まれ、物体が反射した光の波長の違いを私たちは「色」として認識しています。
光を波長成分に分けることを「分光」といいます。右図は、パプリカの反射光を分光し、スペクトル(波長成分の強さの分布)をグラフ化したものです。赤い光(長い波長の光)を多く反射し、それ以外の光(短波長~中波長の光)を吸収していることがわかります。
どの波長を反射し、どの波長を吸収するか(分光反射率特性)は、物体ごとに異なります。分光技術とは、この物体ごとに異なる分光反射率特性を測定する技術で、さまざまな分野に応用が可能です。

異物検査への応用

ニコンでは物体の分光反射率特性に着目しました。特定の波長の光で対象物を撮影することで、私たちの目では見分けの付きにくいものでも見分けられるようになります。

ニコンの提案

対象物を見分けるには、分光技術だけでなく、撮影技術や物体を検出する解析技術も重要です。ニコンでは、光学の分野で培った豊富なノウハウとシステム提案力、そしてディープラーニング※などを用いた画像処理技術をもとに、お客様のご要望に応じた最適なシステムを提案します。

  • ※ディープラーニング:AIが自ら特徴を抽出し、学習により精度を高めていく技術。深層学習ともいわれる。

システム構成例

  • ※異物除去装置についてはご相談ください。

納品までの流れ

最初にお客様のお困りごとをヒアリングし、サンプルなどを用いて対象物の分光反射率特性を確認した上で、お客様のご要望に沿ったシステムを提案します。システム構築後は、実際のラインで効果確認を行い最適化を図ります。

お客様の声

アヲハタ株式会社様
ジャム・フルーツスプレッド用異物検査装置をご導入

当社では、原料に混入した異物・夾雑物(原料となるフルーツのヘタ・葉・枝・種など)を取り除く工程として、これまで全て人が見る目視検査を行っていました。これは作業者の目を酷使するために身体的負担が大きく、精度にもバラつきが発生するなどの課題がありました。
今回、異物検査装置と従来からの目視検査を併用することで、検査精度の向上と作業負担の軽減を両立することができました。商品の安全・安心に対する信頼性の向上につながっていると実感しています。
アヲハタ株式会社 生産本部
技術開発部 部長 藤原祐治様

  • ※ご所属など、掲載されている情報は取材当時のものです。

お気軽にお問い合わせください