光通信用光学系

光データ中継衛星搭載光通信用光学系


光衛星間通信システム「LUCAS」
写真提供:JAXA(宇宙航空研究開発機構)

光データ中継衛星を搭載したH-ⅡAロケット43号機が、JAXA(宇宙航空研究開発機構)により2020年11月29日に打ち上げられました。同衛星には、光衛星間通信システム「LUCAS」向けに、日本電気株式会社(NEC) が製造した光衛星間通信機器が搭載されています。

その光衛星間通信機器を構成している光アンテナと呼ばれる送受光光学系に、ニコンが設計・製作した光学ミラー(口径14cm)を含む光学部品が採用されました。ニコンは、光学系設計、光学部品の製作・組立を担当し、NECの高度なシステム要求に応えました。
光アンテナは、波長1.5µmのレーザ光を用いた宇宙空間の高速大容量光通信を実現するためのキーテクノロジーの一つです。

  • 光衛星間通信システム「LUCAS(Laser Utilizing Communication System)」
    JAXAが開発中の地球観測衛星(低軌道衛星)とデータ中継衛星(静止衛星)間のデータ中継を、波長1.5µmの目に見えないレーザ光を用いた宇宙空間での光通信により実現するシステム。

ニコン独自の光利用技術と精密技術で、高度な要求に対応

送受光光学系は高い精度が要求され、迷光ノイズの回避や通信光の損失を抑えるために、多くの工夫や調整を必要としました。
ハイパワーの送信ビームがミラー面に照射されることで発生する散乱光による迷光ノイズを回避するため、軸外し光学系を採用。また、高反射かつ、偏光特性の高安定化のために、ニコン独自のコーティング技術を採用しました。そのほかにも、各ミラーと周辺部品間の歪みなどによって発生する収差劣化を抑えるために、数µmレベルでの厳しい光学調整を実現しました。さらに光アンテナは、各ミラーの軽量化とともに、ロケット打ち上げ、軌道上の温度・真空・放射線といった宇宙環境に耐え得る光学性能を有した光学系となっています。

今後打ち上げられる地球観測衛星「だいち3号(ALOS-3)」と「だいち4号(ALOS-4)」にも光アンテナが搭載され、光データ中継衛星との衛星間通信が行われる予定です。

画像:光アンテナ向けにニコンが設計・製作した光学部品

ニコンは今後も、得意とする光学技術を駆使した高精度な加工、計測、組立技術を通して、光通信分野の拡大に貢献していきます。

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